本屋大賞

毎回受賞作が話題になる注目の賞だが、本屋さんの店員の格を上げたと考えている。この賞ができて以降、新聞や雑誌に店員さんのお薦めの書籍の紹介が増えた気がする。身近な書店の店員さんにも、書籍の知識がありそうに思える。失礼なことかもしれない。少し一般化すると、単なる店員ではなく、相談にのるくらい豊富な商品知識を持っていれば、購入者からみれば商品の購入の支援になるだけにとどまらないと思う。この機会の創出で売り上げに貢献する面に注目が集まりやすいが、別の視点に注目したい。即ち、仕事への誇りだ。商品の知識には、様々な評価軸があると思う。そこに多様性が見られる。ある面に突出するのもあるだろうし、満遍なく努力するのもあるだろう。なんとなく、医者の専門分野と町医者のような話にも似ている。例えば、女性の化粧品を考えてみよう。顔の肌に突出して知識が豊富なら、顔の肌の相談には、この人と注目されるかもしれない。また、一通りの深さの知識を持っていれば、あれもこれも相談したくなるかもしれない。相談はさらなる相談につながりやすい。店頭を念頭においたが、豊富な知識は店頭だけで求められるわけではない。普段の仕事でも同じことだ。ただ、それが顧客ではなく同僚だったりするだけのことだ。相談が次の相談につながる循環は、一旦回り出したら小気味よく回り出す。その仕事に誇りを持てる根拠になる。これが、本屋大賞で感じたことだ。単に新刊を店先に積んだり補充をするばかりではないのが、本屋さんの店員さんだったわけだ。与えられた業務の消化にだけしか関心がなければ、決して獲得できない知識だったと考える。この点も一般化できるが省略する。誇りを持って仕事をするなら、仕事が誇らしいと考えるのもあるだろう。だが、仕事を通じて誇らしくできることもあると考える。予断を持たないことが必要かもしれない。