富裕層

日本でも、それなりに富裕層はいるようだ。どのあたりから、富裕層とするかは決まっているわけではないが、日本円にして億円を超える資産を保有する人がどの位いるか、の各国の数字はあるらしい。日本では、周囲からは資産家に見られないような人が、実は結構な資産家だという場合が多いそうだ。

この金持ちなのに、消費しないことが、日本の消費が多くない理由、と考えるには、人数が少ないように思う。仮に、1億円消費が増えても、消費増は兆円に達する程度だろうからだ。しかし、人数はともかく、資産家に見られないような消費の傾向は、富裕層でなくても、その傾向があるだろうとする推測は成り立つ。だから、消費増加の対策として、資産家に特化した対策があってもおかしくない。消費が抑えられている最大の理由は、将来可処分所得だと考えているが、資産家特化対策も無効とは思えない。

高額所得者の税金は、以前に比べたら軽減された。しかし、世界的には、どうだろうか。この点で、圧倒的な差は、富裕層を優遇する国を除外すれば、みられないとできる程度だろう。

として、税金を除外して別の方面に向かいたくなる。しかし、やはり税金からは、目を離せない。庶民の感覚からは、税負担をそれほど重く感じないので、見過ごし易い。他国では、当たり前のように、セカンドハウスや資産としての不動産の所有があるが、日本では、所有した時点で当局に把握される。正当に納税しても、見張ってますよ、という効果は大きい。この点は、庶民の当事者としては、当局を支持する立場になるが、マクロ消費の観点では、捕捉の仕組みの開放性だけでも、効果はあると考える。

では、本来的な使途として、真っ当なことを考えよう。似ているが、二点ある。起業への投資とNPOへの出資または寄付だ。これも、税金がついて回る。恐らく、税制改正だけで、半分以上実行済みと同じ効果があるだろう。問題は、精度ある情報が取得可能になるとだ。かこれが難しい。しかし、社会的な意味は大きい。真っ当に欲しがるところに届くならば、その状況を想像すれば理解されやすい。

このように考えると、資産家と見るだけで、寄付の要望が集中したり、本来より富裕と見られる懸念で消費の委縮になったりする愚は避けて、むしろ、待ちの姿勢で積極的な出し手になる姿が望ましいように思う。

行政も懸命に働いているだろうが、納税を通した形なので、自分の払った税金との結びつきに実感を持つことは難しい。しかし、NPOならば、活動報告を通して、実感を持つことができる。それが大事だろう。

また、迷惑になる話も聞く必要がある。具体的な事例を共有して、健全化していくことにつながる努力を怠ると考えだけで終了してしまう。