稠密産業

簡単に言えば、際限なく開発が続き売れ行きが確実に読めることがない産業としよう。ほとんどの場合、市場は総量として安定している。要するに、消費の固定的な商品層を想像すれば、大体合致すると思う。

対象が何かは、この際無関心としよう。代替市場を含めて安定的な市場で、かつ商品間での飛躍的な相違が難しいことが性質をよく表している。では、対照的な産業とは何だろうか。

市場が不安定であるか、飛躍的に売上を伸ばして追随が困難な産業と言える。その特徴から、音楽や映画を想像しやすいが、情報産業や金融関係もこの属性があると思う。これも対象を不問としよう。

両極端に産業を分けたとして、どのような違いがあると考えられるだろうか。視点は幾つかあると思うが、一つは関心の対象の違いであり、もう一つは産業の生態系の特徴だろう。特に、制約を意識するとわかりやすいだろう。

関心の対象の観点では、需要者の関心もあるが、供給側の態勢への関心もあると思う。しかし、制約を中心に眺めると物的実体と仮想的或いは思考上の情報に、極論すれば分けられる。つまり、関心と制約が一致するか否かの違いに整理出来る。ただし、それが適切とは限らない。

ごくごく単純に考えると、物的制約を受ける産業は関心も実体に向かう産業である稠密産業の可能性が高い。逆に物的制約を余り受けない産業は実体に関心が向かわず変化する産業の可能性が高い。

稠密産業は、過激な変化よりも漸進的な変化を指向することが望ましく、平準化も類義語と括ることが出来そうだ。物的生態系を考えると、変化は生産性の悪化要因であることが理解出来る。その想定を覆して、革命的な変化をもたらすことは否定出来ないが、想像しにくい。望まれる革命的変化とは、どのようなものだろう。

生産要員の関心も、変化より安定にあるように思う。それは、需要者も同様だろう。両者の一致は、望ましい姿に思える。

さて、社会が複雑化していくと考えると、望まれる産業は稠密産業と対照的な産業と予想する。これはこれで進展するだろう。しかし、変動の少ない、一見無関心とされる領域を大切にすることも必要だろう。

変動幅を視野の最大限と想定するならば、変動は稠密であるだろう。