技術保存

現在の最終製品は複数の部品で成り立っている。部品を単位とせずとも利用される技術は複数あるだろう。

これをゲーム理論的に考えると、最終製品でなく中間製品であっても、複数の技術の最適組み合わせを追求することになり、機能単位でみれば利用されない技術というものが考えられるだろう。

単純に二つの機能に各々選択可能な技術が二つあるとして考えてみよう。最適組み合わせは4つの組み合わせの中の一つとなるので、利用されない技術は二つになる。

一方で、技術の継承というか、慣性の法則のようなものがあって一度利用されると、それを超えると認められる新たな技術が開発されない限り継続的に利用される。

これは、一度選択されなくなると技術の継承がなされない理由を説明しているようなものだろう。

この時に、別の機能で新たな技術が開発されて、先の選択されなかった技術との組み合わせで、さらに最適値が求まるとするなら、廃れた技術が惜しいことになる。

技術という話を例にしたが、業務の流れも同様に考えられる。

この選択可能で利用されなかった技術を保存して、後日の変化の機会に再活用を検討出来るようにしておくことは意味があると思う。

再三触れてくどいようだが、高分子の制御技術になりそうな要素技術は特に意味があると思う。利用の想定とは異なる状況で利用可能な技術に残る唯一のものなのかもしれないのだ。逃すことは、逃すことを意味する。

小売り業は、素人でも業務の流れが大体理解出来るという意味で、一般的な業務の流れの議論の土台になりそうだ。売り切れの機会損失と逆の不良在庫リスクとか、売り上げ予想とリードタイムといった対のような概念も見方の一つだろう。兵站の先を、PBとか小売り製造とか、括り方もあると思う。面白いのは、少しの高級路線と安値基本形の二つの方向で実績があることだ。多分、これからも新しい試みが出来るのだろう。

そして、考えるのは、業務の主流だけでなく、補強するような業務に競争の源泉がある可能性についてだ。これと似ているのは、海軍の歴史だ。戦艦以外の補強のような潜水艦や巡洋艦も、戦艦を主軸とする艦隊の構成要素になった理由に似ていると思う。今後空母のような飛躍的変化もあるだろうが、現段階では戦艦以外の役割みたいなものが求められているような気がする。

いや、この業界に限らず業界の進化は業界の既存業務という主流で成すということ以外の見落としがあるように思えてしょうがないのだ。

多分、何か漠然と感じるものがあるのだろう。

業界の歴史を振り返ることは、現在の土台を疑う機会でもある。土台を疑わない安心感を得たいのは、誰かの役割で、疑う役割は誰だろう。

恐らく、責任を感じる人間の役割になると思う。感じるだけの関連する概念を深く保有すると思われるからだ。逆に満足しているなら役割を担うことにはならないのだろうか。その因果関係が理解出来ないだけかもしれない。