初顔連勝

熟練飛行士の話が印象に残っている。離陸よりも着陸に神経を使うのは、パイロットに共通するもののようだが、着陸時にはどこかに集中するというよりも、漠然と全体を相手にしているという趣旨のことを言っていたのだ。

今日から交通安全の運動が始まるが、この元パイロットの話が参考になるだろう。交通事故は原因が様々で、どのような事態になるかの予測は確率的な数値でしか示せない。交差点は危険で、見通しのよい直線の複線道路が安全というのは確率的な話で、固有な状況では安全の保証はない。何が起きるか予断なく目の前の情報収集に努めるという意味が元パイロットの言いたいことと解釈している。

今月も大相撲が開催されている。相撲も似ていると思った。自己の技の繰り出しに意識が集中している関取よりも、目の前の情報収集に集中している関取が強いという印象がある。この印象の理由がわからなかったが、初顔に対しての連勝でなんとなくわかったような気がする。

格闘技も仕事も同形のものがあるのだろう。自己の技の繰り出しに意識があるというのは、予断を持って臨んでいると思う。仕事も決めつけることは容易なのだ。情報が不完全であることを理解しているから、個々の状況では情報収集に努めることになるのだろう。

格闘技の場合、恐らく情報収集の訓練に適しているのは乳幼児の観察だと思う。予断を持って臨んでいると情報収集は進まない。しかし、謙虚に努めると乳幼児の行為で何かの理解が発達すると確信する。乳幼児が何に対して関心を持ち、どのような行為を働くか、そして、その行為で発達することが発見出来れば、観察の熟練度は相当増していると思う。多分、格闘技に必要な熟練だろう。

今回も一応飲んでいる。しかし、かなり冷静に書いていると思う。初顔で連勝出来る理由を考えると、謙虚な姿が浮かび上がるのだ。強さの源泉を確信する。この謙虚な姿こそ他の関取が学ぶべきことではないだろうか。

どうしても、強さに関心が向かい勝手な理屈で解釈してしまう傾向は否定出来ない。その勝手な理屈ではなく、ただただ真摯に追求していることを見逃さないことにこそ学ぶことが多いと思う。

実は相撲はわからない。上の理屈は独善だ。しかし、同形のものを感じるので、酔った勢いで書き込んでしまった。でも、確信することは本心だ。